「写真の都」物語 30 ── 名古屋市美術館

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名古屋市美術館 2021.3.20

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 黒川紀章設計の名古屋市美は1988年4月開館。故郷に出来た新しい美術館なので当初から期待を持って活動を見守ってきた。竹葉丈さんの「名古屋のフォト・アヴァンギャルド」から始まり満州に迫った一連の展示、山田諭さんの「日本のシュルレアリスム」「戦後日本のリアリズム」「画家たちと戦争」といった三部作など、単館企画で重要な問題提起を投げかける展示を幾つも催されてきた。帰省の度に拝見し、企画の意図をお聞きし、勉強をさせていただいた。そして、今回の「『写真の都』物語」展である。これは、高校時代に写真に興味を持ち、写真による表現、自己認識に開眼した半生を振り返えさせていただいた貴重な体験となった。提供した作品・資料の返送をもって一段落するが、さらに、写真史のなかで、中部学生写真連盟の活動が評価され、あらたな、展覧会へとつながる予感と期待に包まれている。

 一方、同館では1991年と1996年の二回、マン・レイの展覧会を開催しており、わたしも協力させていただいている。特に後者は、「我が愛しのマン・レイ」と題してわたしのコレクションを紹介した展覧会で、カタログも制作させていただいた。美術館の図書室には、整理番号S12747として、このカタログが蔵書されている他、わたしが1999年に自作したマン・レイ油彩のカタログ・レゾネ『MAN RAY EQUATIONS(マン・レイ方程式)』(限定50部)も収められている。ティモシー・バウムとアンドリュー・ストラウスが準備を進める油彩レゾネは現時点では刊行されていないので、世界で最初の(それゆえに未熟な)レゾネが、名古屋市美にあることを、恥ずかしながら報告しておきたい(整理番号S14863)。

 

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「『写真の都』物語」展会場 2021.2.6→3.28

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『我が愛しのマン・レイ』1996年f:id:manrayist:20210322092756j:plain

『MAN RAY EQUATIONS』1999年 

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