『異界へのまなざし』at 京都文化博物館


鍾馗像(朏コレクション) 昭和時代

「京都では屋根の上に鍾馗像を載せている様子がよく見られるが、この像によって退けられた魔が近所の他の家に取り付くと恐れられ、屋根の上に置くときには近所の了解を得るなどの、配慮が必要なのだという」目を合わせないよう横を向く鍾馗さまが多いが、本作とは目を合わせてしまいますな、可愛い。

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 副題を「あやかしと魔よけの世界」とする総合展示は会期が11月25日〜新年8日(月・祝)だったので終わってしまったが、他階で展示中の「シュルレアリスム」展と響き合う好企画だった。新年から災いが続き紹介を躊躇するも、このタイミグこそ鍾馗さまの霊力にすがるときとアップさせていただいた。(合掌)

岸勝『幽霊』(左)、鈴木松年『見返り幽霊』

羽織 黒絽(河鍋暁斎画「刑場図描絵」肩裏付)

久の浜の張子面「大天狗」(朏コレクション)

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 久の浜は福島県沿岸部いわき市にあり、江戸時代から作られていた張子玩具の天狗面。赤面に鼻高が特徴で、天狗は山奥に棲み、神通力を備え翼の生えた異型のものという。本作の久の浜の天狗面は漁師が天狗の持つ神通力に期待し、航海の安全を祈願して買い求めたという。(展示パネルより)