ダリボルカ ── 6日(木)

カフカが仕事場として使っていた青い家(22番)のある黄金の小道をぬけたところに17世紀建造の牢獄がある。降りてみると……

[メモ]

片野優・須貝典子による『プラハ──塔と黄金と革命の都市』(河出書房新社、2011年)によると、22番の家を借りたカフカは、『村医者』『天井桟敷にて』『猟師グラッホス』『あるアカデミーへの報告』『家長の心配』などの執筆に没頭したという。また、水攻めの牢や拷問の道具が残されているダリボルカは円形の塔の名で、スメタナの名作オペラの名として今も親しまれている。ダリボルは悪領主を一揆で追い出した農民が後任に選出した人物で、元の領主によって塔に囚われた彼は「獄舎で美しく物悲しいヴァイオリンの音色を奏でた」という。