
3月23日で閉幕した『愛しのマン・レイ』展に出品された『自然絵画』の兄弟作を紹介しておきたい。上掲写真中央のタイトルは『コンポジション(黄+青)』(1960年頃)、カタログの解説に「マン・レイは、2枚の板の間に絵の具を挟み込み、押さえつけた後に引き剥がすことによってできる自然な絵の具のマティエールを作り出す絵画を『ナチュラル・ペインティング』と名付けた。本作は、黄色と青の絵の具を使ったナチュラル・ペインティングである」(177頁)と記載されている。
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20 × 25 cm アクリル、メゾナイト

下掲図を「カンバスを左右に反転」させた。一致するではありませんか。
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2023年9月のオークションに出品された作品が兄なのか弟なのか、姉なのか妹なのかは不明だが(一卵性双生児なら、どちらでもよいけど)、裏面を確認すると同じメーカ、同サイズの支持体が使われている。ベースの色彩が異なるので、作者の手が入っているかもしれない。


WRIGHTのオークション サイトから引用させていただいた。感謝申し上げます。→ https://www.wright20.com/auctions/2023/09/post-war-contemporary-art/118
マン・レイは双子を生み出す楽しい新技法について「その時のはずみで絵具を画面に置くと、絵筆もパレット・ナイフもかえりみずに、そのうえにもうひとつの面を圧しつけるやりかたを適用し、それをまた取除いてロールシャッハ試験紙の一変形のようなものを作り出した。成果は驚嘆すべきもので、細部など、長く、細心の手仕事を経てでなければ得られないようなものだった。このての作品には《自然の絵画》という総題を与えた」(『セルフポートレイト』美術公論社、千葉成夫訳、385頁)と書いている。小生も欲しい、欲しいですが今では高騰してあきません(トホホ)。