名古屋市美術館2階 企画展示室
名古屋女子大学写真部集団撮影行動『郡上』
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民衆の歴史を写真で辿るその試みは、写真部員34名により、3年にわたり撮影された74点の写真によって構成された。---写真部OGにより(写真集が)発行されたのは、撮影から48年後の2016年のことであった。(竹葉丈 カタログp.170)
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写真集『郡上』、パンフ等一次資料
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以前、紹介した。↓
名古屋市美術館2階 企画展示室
杉山茂太『SUD』(1968) 右下段は『SUD-EST I 洋子に』
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杉山茂太(1948〜2015)は、1965年9月から翌1966年3月まで<中部学生写真連盟>の高校の部の執行委員長を務めた。『フォト・オピニオン』創刊号において、杉山は表紙の作品を制作し、また1968年には私家版の写真集『SUD』を発表するなど、周囲の高校生に新しいテーマと表現法を提示して見せた。杉山の表現はどこかスタイリッシュに映り、後輩からの信頼を集めていた。(竹葉丈 カタログp.169)
先輩・杉山茂太氏については、何度か紹介している↓
『習作』、『SUD』
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LE SUD (名古屋観光ホテル) 広小路通御園西入ル
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新興写真術 森芳太郎・金丸重嶺著 アルス 1937年刊(2刷)
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昨年4月に画像データの取り込みをした後、目立った報告のできなかった銀紙書房の特別企画「マン・レイ受容史」、今年にはいって、本文執筆にとりかかりました。深入りせず客観的な記述にとどめ、まず、戦前日本の状況を昭和元年あたりからたどって「レイヨグラフ」「前衛映画・ひとで」と---- 書き進めると確認したい事柄がいくつもあらわれ挫折しそう。名古屋市美での解説会で解けた事柄も盛り込みたいし、きりがありません。
先日、入手した『新興写真術』にも、森芳太郎の辛辣な批評があったりして、いやはや。これにはマン・レイによるリー・ミラーの肖像も紹介されています。
名古屋駅前 雨が上がりました。
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昨日は竹葉丈氏の解説会に参加。テーマは「前衛写真から主観主義写真へ── 写真家たちの戦前/戦後」。いろいろな疑問がほぐれた数時間だった。現像・焼付をしない(できない)アマチアたちが、店頭に置かれた海外の写真雑誌などを手にした時代のようす、名古屋の写真愛好家たちの裾野の広がりにおどろく。愛友時代からの天才・高田皆義、戦中戦後で一番活躍した後藤敬一郎、早熟の天才・山本悍右、浪速写真倶楽部から名古屋に移った坂田稔の盟友・服部義文ら戦前からの前衛写真家4名が1947年に結成した「VIVI社」、全国的に考えて、これは戦後の早い出発だったのか。戦前、ナゴヤ・フォトアヴァンガルド解散後に発表の機会をなくした山本がVIVI社に期待した部分は大きいだろう、意欲的な大作を会場写真で確認。---現物は残されていないもよう。山本と坂田の相違を考えなくちゃ---
VIVI社第1回展 名古屋丸善画廊(1948) 左から高田皆義、後藤敬一郎、服部義文、山本悍右
VIVI社第3回展 名古屋丸善画廊(1950.12) 左から高田皆義、山本悍右、後藤敬一郎、服部義文
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コロナ禍の状況を鑑み、小生、おとなしく撤収。3月20日の第3回解説会(最終)は「東松照明と中部学生写真連盟」のテーマ、これは、同窓会なので、どんなハジケ方をするか、予測ができません。
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名古屋市美『「写真の都」物語』展の会期(3月28日迄)も折り返しとなった。この展覧会は巡回しないので、観ていない方には、ぜひとも名古屋まで足を運んでいただきたい。その援護射撃になるかと駒込の画廊・ときの忘れもののブログに展覧会のレビューを書かせていただいた。マン・レイのコレクターが、高校時代にどんな「物語」を持っていたのか、知ってもらいたいと、恥ずかしながらの5,900字です。→
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担当学芸員の竹葉丈氏が、高校写真部の集団撮影「大須」に興味を示し会場の一角を展示に与えてくれた。先日、手許の古い資料をみていたら写真集のセレクト・レイアウト時に使ったキャビネ版の写真が出てきた。裏には「名古屋電気工業高校写真部」のゴム印、学校近くの印章店で作ってもらったのを思い出した。マン・レイ写真のゴム印を連想するには、へだたりがありすぎるけど、還暦を過ぎて、スタンプの真贋に「カスレや経年変化」を検討しているとは思いませんでした(パリのクリステイーズの一件)。三つ子の魂ですな、ホント。
自作写真集『大須』(右)と高橋章写真集『断層』が並ぶ。
私学展用の組写真
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本日、6日(土)の午後2時から美術館2階講堂で同展担当学芸員・竹葉丈氏による解説会が行われる。第2回目となるテーマは「前衛写真から主観主義写真へ── 写真家たちの戦前/戦後」山本悍右さんやVIVI社の事など聴けるかしら、楽しみに新幹線に乗る予定にしております。もし、小生に気づかれましたら気楽に声を掛けて下さいね。マスク越しでお話いたしましょう(笑)
トレイヤール夫妻「マン・レイ コレクション」全188点 セール: 2021年3月2日14時〜(日本時間22時〜)
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オークションの内覧会は、売り物が並ぶので生前のマン・レイ個展を拝見するようで興奮する(買えるかもしれない)。技術が進歩し京都に居ながらパリの会場へ、バーチャルといえども気楽に訪問できるのは驚き。クリステイーズが提供するシステムは、会場内を気ままに進み◎印にポイントを合わせると、その場所に立って360度の視覚を与えてくれる。作品への接近もクリックすれば可能で、作品につながる◎印から、作品の詳細、入札予想価格などを確認できる。これは、すぐれもの。--- 上にサイトを貼っています。
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内覧会は2月25日から3月2日(2月28日除)の各日10時〜18時、最終日10時〜14時に開かれた。以下の画像3点は、クリステイーズ・サイトから引用。
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今回のオークションは、1960年代からマン・レイの助手をつとめたリュシアン・トイレヤール(1936-2004)の遺品売立、氏は「マン・レイ友の会」を組織し写真作品の証明や流通に貢献、生前にはオブジェの再制作や版画の監修を手伝った。そのため全188点の出品作はマン・レイとの個人的な交流につながるものも多く、ファンの興味をひくものが多い。トレイヤール氏とは小生も面識があり、生前、お世話になったので懐かしく小品にビットしたが、あえなく玉砕。その一方で作品の信憑性と所有権にまつわるスキャンダルがマスコミで大きく取り上げられている。この辺りについては、銀紙書房本として、いずれ報告したい。
どのロットも予想価格を大きく越えた。パリの事情通の話ではコロナ・バブルとの説明。最高落札価格となったのはメレット・オッペンハイムがモデルをしたコンタクト・プリント(12×9cm)9枚組で312,500ユーロ(邦貨換算およそ4,100万円)、セールの総額は7億8千万円だった。
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パリ8区、マグテイニョン通9番地のクリステイーズ・パリ グーグル・マップから引用
ひなあられ、甘酒、いやいや、冷酒ですな。
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長野辨財天辺り