上海・蘇州二泊三日---(1)

阪急交通社(トラピックス)の格安パック・ツアー(R12701)で上海・蘇州二泊三日を楽しんだ。デジカメで737カット、写真を中心に中国の印象などを報告したい。


南ゲート32に駐機するエアバスA321 空港ビルに雨粒が流れる


窓側の家人に撮ってもらった。
土曜日の朝は雨、タクシーの予約は5時10分、関空特急「はるか」の京都始発は5時46分。新大阪、天王寺と停まり同行の友人夫婦と合流、ツアーの集合時間7時40分には余裕の到着。中国東方航空エアバスA321で上海までの飛行時間は2時間20分、雲の上は青空、アジアは近い、虹橋国際空港への着陸は定刻の11時(時差−1時間)だった。昼過ぎ黄浦江東岸の船上レストラン海竜海鮮坊上海料理の昼食、ツアー提供の食事は不味いのが多いが、口に合うのか美味しく頂く、3テーブルに別れた一行は29名、リタイアの友人連れや若い女性組み、それに幾組かの中年夫婦、それぞれが二泊三日なので気楽な雰囲気である。添乗員は大学に入ってから日本語を覚えたと云う蘇州人の陳氏、我々がイメージする中国人の雰囲気そのままかな、「へへ」と独特の笑い方をする。上海も雨、予定では初日に上海ヒルズ展望台見学とあったが、474メートル上は雲の中で眺望不可の為、上海博物館観光への変更となった。
 新しい街である上海は中国経済の中心で、市内は予想とは異なり街路樹や公園が点在して緑が多く、乱雑な高層ビル群をぬって何本もの高速道路が走っている。見上げると道路の側面にテトラポットがつり下げられていて恐いが、地震の経験はないとの事。市内の高速道路は無料なので車が多く渋滞ばかりで、走っているのは200-230万円前後の普通乗用車ばかり。陳氏の説明では、総量規制で上海ナンバーを取得するのに日本円で65万円かかるとの事、これでは軽自動車ではコストに合わない。上海の庶民は電動自転車で走り回る---オートバイでないのは排ガス規制によると云い、自転車だからヘルメットは被らず、二人乗り、三人乗り、荷物を一杯抱えて、信号などお構いなしのバイタリティー、突然の方向転換など当たり前なので事故も多いという。「観光するとき電動だから音がしない、注意して下さい」と最初に言われた。



安全検査で正面入口は長蛇の列、裏口に回る時に振り返って道路掃除のミニカーをパチリ。

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中国の簡体字が良く判らないので、英語表記を示す。 LEFT: Brocaded gauze robe with python design / Manchu / Qing(1644-1911) RIGHT: Green gauze cheongsam / Manchu / Qing(1644-1911)

POLYCHROME GLAZED POTTERY PILLOW WITH INCISED BIRD AND FLOWER DESIGN / CIZHOU WARE / Jin~Yuan, A.D. 1115~1368

CHILD-SHAPED PILLOW WITH BLACK DESIGNS ON A WHITE GROUND / Cizhou Ware / Jin Dynasty, A.D.1115~1234

PILLOW WITH BLACK LANDSCAPE DESIGN ON WHITE GROUND / CIZHOU WARE / Yuan, A.D. 1271~1368

HEAD OF BUDDHA, STONE / Tang, A.D.618-907
さて、上海博物館は天円地方(天は円く、地は方形であるという古代中国の宇宙観)をモチーフとした建築物。安全検査を済ませた後、入館。4階の中国少数民族工芸館から鑑賞。
 清代(1644-1911)の満族緑紗旗袍の緑がなんとも素晴らしい。館内ではストロボを使わない撮影は許されているのでパチリ、パチリ。満州族が中国を支配した時代のエリート女性達がまとったチャイナ・ドレスはゆったりした筒型の衣で身体の曲線を隠した。どんな身体が包まれていたのだろうか、モダンな色彩が気持ち良い。中国人は玉器や青銅器を好むらしいが、わたしには良さが判らない---当然だけど、こちらは板の人形かしら、可愛いのよ。そして、館内を巡り河井寛次郎のルーツを発見、極東の地の我々は輸入の文化だな。いつもお手本があったように思う。南画の表現、特に女性の顔の描写などキリリとして知的だ。展示ケースに近付くと照明が灯る、ふわりと浮かんでくる軸物の濃淡は幽玄そのもの、上海ではなくて何千キロも西に旅して得た光景なんだろうな。そんな夢を陶器の枕に見たりしたので、写真も幾つかパチリ。一階まで降りて仏教彫刻も拝見、どの仏様も悲しい表情で驚く。日本の慈愛と異なり、展示された彫像は異民族に駆逐された精神の拠り所、頭部が転がって砂の土地に取り残された感覚は、通過していった文化の姿、現代では蔑ろにされていると思うばかりだ。

格安ツアー恒例の中国茶試飲に連れていかれた後、夕暮れの黄浦江西岸・外灘(ワイタン)へ異動。ここには阿片戦争で国力の衰えた中国に進出した列強による共同租界地区で、今も20世紀初頭に建てられた欧風建築が並ぶ。実はわたしの両親が戦時中に中国で商売をしていたと子供の頃に聞いていたので、その地に立ちたかった訳---母親は上海に着いたとき亜米利加機の機銃掃射を受け、桟橋を走って逃げたと言っていた。ルーツの場所に立ったといっても僅か30分、カメラをセルフ2秒にセットしてピント確保する。一人でブラブラしなければ時間と対話出来ないのは判っている、でも眼と風を感じる肌は一瞬であっても力を発揮するだろう---家人もいつか判ってくれるだろうと期待したい。


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夕食は上海新東紡大酒店での四川料理。テーブルには料理が幾皿も、日本人向けで麻婆豆腐も辛くなく、友人が麻婆豆腐好きだと気づいた楽しい会話の時間だった。飲んだのは青島麦酒---アルコール度数3.1%で一本30元。喉にイガイガ感が残っていたのは空気が汚れている為だろう、この土地柄故に薄いビールが合うのだろうな、お茶も珈琲も薄いと感じた。その後は、陳氏お勧めのオプショナルツアー・上海雑伎団観劇。北京より時間も長くレベルが高いと力説、騙されたと思って観たけど、これがたいしたものだ。スリルのあとにコミカルな演目、集団演舞の次ぎに一人、二人で技をしっかり披露し、中国ものと西洋もののコラボもありと云った構成で飽きさせない。圧巻は球状の檻の中を五台のバイクが疾走する出し物。1台、2台と檻に入って行く男達は命がけの英雄となっていた---子供の頃、木下サーカスで観たのは1台だけだったと記憶する。雑伎団の女性陣は子供を除くと太めかと思ったけど、これは体力がないと務まらないな---女性美の偏見はいけないと反省。
 一日の全行程を終えホテルに入ったのは9時過ぎ。レセプションで絵葉書をもらったマリオット長風公園は、ツアーの「売り」である五つ星のデラックス、21階の客室はゆったりで、浴室がガラスばり、セレブの世界だと思った。ベットが大きいので寝心地もよろしい(感謝)。上海ではNHKの放送が受信でき中日ドラゴンズが対戦成績を三勝三敗とした、いよいよ明日、日本一が決まる、勝って欲しいな。