東京画廊のグループ展


19人のシュールレアリスト展カタログ 東京画廊 1967.9.25-10.14 23.7×23.7cm 三つ折り
名古屋の学生時代に桜画廊で藤田八栄子さんから、高松次郎作成の便箋を貰った事は、これまでに書いたり喋ったりした。1971年4月の桜画廊と東京画廊が共催した展覧会「外国・日本現代版画展」の会場だった。その折、画廊に置かれた案内状を手にして東京画廊にも行きたいと思ったりした。その東京画廊マン・レイを含むシュルレアリスト達の展覧会を1967年に開催していたのを知ったのは、随分後だった。記念に作られた三つ折りカタログの現物を手にしたのは東京国立近代美術館ライブラリーで、以来、このカタログを探して来た。そして、先日、やっと「日本の古本屋」で見付け注文した。廉価な資料だがわたしにとっては喉から手の出る貴重な一品で嬉しい。
 展示された19作家は、エンリコ・バイ、ハンス・ベルメール、ビクター・ブローネル、サルバドーレ・ダリ、ポール・デルボー、マックス・エルンスト、ウィフレッド・ラム、フェリックス・ラビス、ルネ・マグリットマン・レイアンドレ・マッソン、ロベルト・マッタ、ジョアン・ミロ岡本太郎、フランシス・ピカビア、クルト・シュウィタース、マツクス・ワルター・スワンベルグ、イブ・タンギー、ヴォルスで、特別出品も含め32点、油彩が多く見応えのある展示だったと推測される。カタログには針生一郎のテキスト「魔術の宝庫」が掲載され、その中で前年のブルトンの死にもふれながら「シュルレアリスムは終わったどころか、歴史のなかでは何ものも完了しない。そして、完了しないことを知っているものだけが、忘れられた過去のなかから未来を照らす光源をさくりだす。」と謳っている。
 マン・レイの紹介文も好意的で「彼の作品は、豊潤な現代絵画の中にあり、彼の写真の記録は、文学、美術のその時代の貴重な記録となった。」とある。尚、出品は3点(油彩、素描、ガッシュ)で、変形キャンバスに描いた油彩の『しっぺい返し』(1948年)は、現在、ワシントンのハッシュホーン美術館コレクションとなっており、先年のマン・レイ展『私は謎だ。』(2001-2005)で再来日している。当時、東京画廊はこの油彩にどんな価格を設定したのだろうか、日本に留まることなく、著名な大コレクターの手に渡ったのは、良い事だったと思う。

カタログを開くと右頁にマン・レイ(3点)が紹介されている。