林哲夫の仕事


林哲夫作品展『巴里2013、東京1978』会場
林画伯の個展が、神戸のギャラリー島田を会場に本日から始まった。好評のパリ・シリーズの他に、画家の初期作品が展示されている。画廊に入ると70年代の若かりし林が描いた油彩(初期フランドル派風や後期印象派風だったり)に、才能の輝きを観るのはわたしだけではないだろう。マチュエールに拘る画家の手先を記憶する『塔のある街路』(1979年)などを前にすると、すぐに林のファンが形成されたのも納得がいく。今展で一番年号が若いのは1974年の『青い帽子』だろうか(氏の解説によれは武蔵美時代の五作目)、翌年の『自画像』と共に、自我の芽生えた青春の「思い」あふれる作品だと思った。おだやかなお人柄の奥に、作家の強い意志が認められるのも、作家ならば当然とはいえ、実作を前に対話出来るのはわたしのような凡人には嬉しいことがらである。

林画伯と『大学構内』
 どの絵も購入意慾をそそる名品なんだけど、特に親子三人での欧州一年旅の折におとずれたボルドーで描かれた『大学構内』(1980年)には魅了された。古い民家(あちらではレンガ造りです)にペイントされた窓のアクセント、青い空にちょっと白い雲と云った感じが、フランス的でしびれるのです。価格もリーズナブルで欲しくなりました。
 会場の奥の空間に入ると、水彩や油彩のパリ・シリーズ、コラージュの仕事、窓の仕事などがかっちり展示されて、さながら氏の回顧展(日々変化を続けられる作家にとっては、確認展示かしら)といった様子。詳しくはみなさんご覧ください。尚、パリ書店・絵葉書6枚セットを販売されているので、パリの古書店に思いを馳せるのもよろしいかと思います。

林哲夫作品展 『巴里2013、東京1978』 油彩画・水彩画・コラージュ 10月5日(土) 〜 16日(水)
●ギャラリー島田 神戸市中央区山本通2-4-24 リランズゲートB1 営業時間:12:00〜19:00(火曜日〜18:00 最終日〜17:00)

会場では、12日(土)15時から林画伯によるトーク「東京1978」が予定されている。参加自由・無料との事なので、これもお楽しみに。