ハイレッドセンター: 直接行動の軌跡展


東海道新幹線 関ヶ原を抜けて濃尾平野

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今年の紅葉は、猛暑の後遺症なのか火傷をしたような赤色で「よろしくない」なと思いつつ新幹線の車中でうつらうつら。今回の帰省は名古屋市美術館で開催中の『ハイレッドセンター: 直接行動の軌跡展』(12月23日迄)を拝見出来るのが楽しみ。気持ちの良い午後だけど、白川公園の紅葉もいただけない様子だが、会場に入って沢山の刺激をいただいた。わたしの世代にとっては噂のみが先行し、資料の中にしか存在しない「ハイレットドセンター」が、当時の熱気ともども現れている、展示品の案内状がアクリル板に挟まれて壁面に固定される仕掛けから「やられた」と思った。上手いのです。そして、カルテのように当事者と参加者と目撃者と証拠が「物件事」に示される。名古屋に住んでいて、幾分離れた世代だから、こんな事をしていた人達の事を知らなかった訳で、わたしは誤植と云われる中原佑介のテキスト「この連中は不快な陰謀家共であって、」の活字を眼をこらして反復した。しびれますね。京大カード風のタイトルカードが掛けられた釘の頭の光り具合に臨場感があふれるのです。さすがにこの美術館はよろしい。赤瀬川原平の『復讐の形態学』の迫力ある展示や、二階の会場に抜ける迷路の仕組み(あいちトリエンナーレの仮設だが一体感があって成功している)や、千円札裁判における法廷の様子など、短い活動の終焉を示す袋小路の会場構成に、考えられているなと思った。企画展を巡った後は、常設に降りてフリーダ・カーロの『死の仮面を被った少女』と再会、しばらく、近況報告をさせていただいた。

名古屋市美術館

大津通