ツァラのコレクション


書斎のツァラ オークションカタログより引用

    • -

トリスタン・ツァラ伝』(思潮社、2013年刊)を読み終えた(1)(2)。10代後半「ダダの冒険」にやられてしまった身としては、興味を持ってツァラの人生を追体験できると期待したが、どうも、上手く入り込めなかった。評伝の進め方にもいろいろあるだろうが、雑誌に語らせる政治、ジャーナリストとのつながり、多岐にわたる引用など、それぞれから散漫な印象を感じた。ツァラがどう生きたかに、著者のフランソワ・ビュオ氏は力点をおかなかったのではないか、むしろ、フランス的とも言える社会の変化を伝えたかったので、ツァラの人生から焦点がぼやけたとも考えた。---読むのに時間をとられるので、これはつらい。
 マン・レイに関しては、1957年の展覧会(ギャルリー・ド・ランスティチュ)に言及した部分があって参考になった。読み終えてから、ツァラにはドキュメント類への偏愛があったとの指摘から、ドルオーでのオークション・カタログ(1989年3月)を書棚から取りだし眺めている。破壊しながら詳細な記録を残す戦略だから、複雑である。

TRISTAN TZARA/GUY LOUDMER PARIS-HOTEL DROUOT-SALE 9 1989