CHRISTIE’S Sale 14977 10 October 2017, New York
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10月は芸術の季節。一般的には気持ち良く散歩しながら、しゃれた美術館で鑑賞を楽しみ、「お茶している」我が身を思い浮かべ、どこに行こうか、--- 京博の国宝展とか、正倉院の宝物とか、北山会館の茶器とか、良いですね。---ところが、収集家には、オークション情報に一喜一憂する悩ましい季節。現役を引退した身なれど、気になるのは悲しい性、困ったものである。この秋はクリステイーズとサザビーズの二大オークション・ハウスで重要なマン・レイ作品の出品があるため、情報収集のネット・サーフィンが欠かせない。
クリステイーズ・ニューヨーク(ロックフェアービル)で10日に開かれるSale14977は、ニューヨークの近代美術館が所蔵品を手放す、ビックイベントの初回(来春まで7回が予定されている)で、カタログを見るとマン・レイの作品が4点含まれている。表紙に使われているのがロット102のレイヨグラフ(1928年)。1940年代にマン・レイの写真集を出版した事でも知られるジェームス・スロール・ソビーが美術館に寄贈したもので、予価150,000〜250,000ドル。 これに加えて目玉となっているのが、マン・レイがレイヨグラフを始めた時に現場に居合わせた旧友トリスタン・ツァラ旧蔵(1937年寄贈)のレイヨグラフ(1923年)で、ロット103番、こちらの予価は200,000〜300,000ドル。 その他の2点は、ロット154番で『願い』(1930年代)のエディション・リブリント版(1960年代で番号I/VII)予価50,000〜70,000ドルと、ロット155番『電気』(1931年)の予価30,000〜50,000ドル。
日本では理解しにくい部分もあると思うが、海外の美術館では、収集方針との調整や、資金の捻出にともなう、所蔵品の放出、入れ替えは珍しくないと聞く。ニューヨークの近代美術館の壁面に展示された「お宝」を、我が家に迎え入れられたら望外の喜び、それが、ツァラの手からとなると、清水の舞台から---となる訳だけど、昨日の為替(1ドル114円として)に換算するとロット103番の予価は2,280〜3,420万円。お金持ちだったら、参戦するぞと思いつつ、引退していてよかった(ハハ)。