マン・レイ展 in LONDON, 1974

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サウス・モルトン・ストリート (グーグル ストリートビューから引用)

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ロンドンのメイヤー・ギャラリーが、毎週木曜日に画廊の歴史をブログで発信されている。マン・レイ関連の展覧会を幾度か開催(1974、1978、1990,1999,2001など)しているので気になる画廊。印刷物の案内状はいつも送ってもらっている訳だけど、このコロナ禍、国際郵便の動きは壊滅的と思うからからブログでの発信が有効である。4月9日付の1974年の項には、戦後最初とされる同国でのマン・レイ展の様子が綴られていた。

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 "Man Ray"  18.3×24.2cm pp.40

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ジェームス・メイヤーの回想を要約すると── 父親のフレッド・メイヤーがマッソンやエルンストなどのシュルレアリスム系作家の作品を沢山持っており、ジェームスは親友のティモシー・バウムの協力でマン・レイ展を7月に開催。オープニング・レセプションのスポンサーにペルノを得て通りにフランスのカフェのようなテーブルを配置。老巨匠マン・レイがオープニングに来てくれて、一同多いに楽しんだ。数日後、著名なコレクター、アカルパインが来廊。彼は写真が大好きで購入にも積極的、売り込まなくてはと私はカタログを差し上げた。コレクターは写真図版を見て気が変わり、私に「この複製は素晴らしい、オリジナルを必要としないね!」と言い、結局、一枚も売ることが出来ず、カタログの代金さえ回収出来ませんでした。気前よく配っちゃいけないという教訓でしたね。──上図がそのカタログ(?)、ジェームスはこの後の『マン・レイ 写真 パリ 1920-1934』が刊行された大恐慌時代のエピソードにも振り返るのだが、小生は印刷された写真とオリジナルの関係に興味をもった。オリジナル・プリントが美術品として市民権を獲得するには、まだまだ、年月を必要とするのである。ウィキによるとアカルパインはエフェメラ類も熱心に収集していた模様。写真家達が最終表現の印刷特性に合わせて紙焼きをしていた事を考え合わせると、印画紙自体の経年変化を待たねば、魅力が生まれないだろうと、ワインの熟成を連想した。マン・レイは「みんなヴインテージプリントと言うけど、私はワイン業者じゃない」ときっぱり言っている。後世のコレクターとは困ったものである。(わたしのことです)

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ボンドストリートからサウス・モルトン・ストリートを俯瞰 (グーグル ストリートビューから引用)
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 さてさて、メイヤーギャラリーはコークストリートに店を構える老舗。上図カタログ裏面の住所に「14 south molton street, london, WI」とあったので、クーグルのストリートビューマン・レイも交えたフランス風カフェの設置場所を確認しようとしながら、疑問をもったので、画廊に問い合わせてみると、すぐに返事があった。サウス・モルトン・ストリートの期間は1972年から1978年1月、その後、2014年1月までがコークストリートの22a、ついで21に移動して現在に至ったそうだ。画廊の担当者は「この困難な時期にニュースレターを楽しんでくださってありがとう」と書いてくれている。次回、ロンドンへ旅行した折には三ヶ所でのマン・レイを確認してみたい。