甲斐扶佐義写真展 刹那拾遣── 日々のあわいに at ギャルリー宮脇

10月10日(月・祝)に催された評論家・飯沢耕太郎学芸員・神保京子の記念トークイベントに参加。改めて拝見すると── 甲斐さんのプリント、階調がしっかりコントロールされていて美しいのに驚いた(失礼)、旧知の神保さんから「石原さんどれが一番好き、あとで教えてね」と言われ、螺旋階段の途中に掛けてあった「稲田耳鼻咽喉科医師」、東松照明みたいな雰囲気で、これかと思った。今回はシュルレアリスム好きの彼女(東京都庭園美術館)の選択だから、独特の視点が入って、これまでの甲斐調とは、ちょっと違う。「眼を鍛えて、破れ目を見つける」、なるほど、「自分の為の報道写真、スナップショット」ですか、共感を持ちますな。展示作品のうち、上掲した「八坂塔付近 豆腐屋角」のおっちゃんとおばちゃんのデカ顔、お面のようだけど、コラージュかと気になった。岡上淑子のリアル版──店先に衝突避けに設置したカンバン絵、甲斐さんの説明では「効果があった」そうです──、「みみ はな のど いなだ」より、こちらを押すべきか。神保さんの一押しは「店頭を掃く少女 青龍町」。今回の展示品はいずれもビンテージのゼラチン・シルバー・プリント。「超貴重」と神保さん、散逸を恐れ、購入された場合も画廊の記録で将来展示の折りには、貸出展示に協力して欲しいと、訴えておられました。さすがに、学芸員。会場は立錐の余地のない盛況で、知った顔もちらほら、甲斐さんの人柄に、みなさん酔いしれておられました。

トークに先立ちビデオ鑑賞

尚、本展は10月23日(日)まで開催。ギャラリー宮脇での初めて写真企画展示だそうです。