杉浦正和写真展『迷幻街  サイケデリックストリート』at ギャラリー・メイン

写真家をパチリ

---

 杉浦正和さんの写真展が麩屋町五条上ルのギャラリー・メインで催されている(12月10日迄)。サイケデリックな色彩あふれる大判プリントが壁面に整然と連なっている。写真家の目線を頂戴したような感覚。アジア特有の湿気まつわる街の昼と夜が、ジャングルかと錯覚させる猥雑さで幾重にも重なっている。昭和世代としては懐かしい感覚。不思議な写真群である。
 早く紹介したいと思っていたが、銀紙書房本の制作で拝見するのが遅れてしまった(本日を含めて会期は残り3日)。昨日、拝見。作者が会場にいらっしゃったのでパチリ。1960年生まれだから還暦前後の取材(ベトナム、2019-2020)であるようだ。── とすると、写歴に裏付けられた失わなかった「欲望の眼」。写真集のあとがきから引用すれば

 外界との接触をカメラで仲介し、時間が経つのを忘れるほど夢中になり。感情の奴隷になった時に、生きているという実感が湧き出てきます。

「感情の奴隷」の体験を観る側も共用してしまう空間となっていた。招待状やポスターで使われた廃墟で「存在」を主張するような「犬」の写真、写真家は「犬」に何を語らせようとしたのだろう、森山大道安井仲治につながる名前として杉浦正和が記憶される。「生きているという実感」なんですよね。

---

杉浦正和写真集『迷幻街 サイケデリックストリート』(蒼穹舎、2022年刊) 23×27.5cm