「集団撮影行動とは何か──全日本学生写真運動資料解題」at 名古屋市美術館

白川公園 13:11

名古屋市美術館 2階 図書室

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竹葉丈による表題のコレクション解析学を聴講。


 昨年末の19日から始まった常設展示『抵抗と模索─<全日本学生写真連盟> 写真運動の展開』 は、3部構成と聞いていたが、IとIIが濃くなりすぎて解題当日になってしまったようである。共同制作から集団撮影行動に移行していく学生たちのうねりを東松照明と福島辰夫というキーパーソンとの関連から、写真集を中心として具体的に解説される興奮する内容だった。その中で『足ぶみ飛行機』のテキスト部分をガリ版刷りして配布したS氏の活動を見直した。赤い表紙の一冊の背景に改めて、熱気があったと思うのです。人間がいるのですな。

 『状況1965』『状況1966』から『10・21とはなにか』『69 11/13-17 佐ト訪米阻止斗争』へと続く匿名性とアレ・ブレ・ボケの写真は、「警察の証拠写真」とならないような加工などからもプロボーグの作家に先んじた行為ではなかったか、東松が報道写真をやめた伏線、いわゆる名取との論争も明かされた(私案)。竹葉は「はっきりした意図を持って、写真を複数で提示すれば、それは単写真の持つ音量をさらに増幅する。このような群れとしての写真を、ぼくは名取氏のいう組写真と区別するために、"群写真"とよびたい。群写真はマッスとして、星雲状の塊として提示した状態をいう」(組み写真から群写真へ、1970年)と東松の発言を引用し、東松のその後の活動を示唆している。なるほど、そうでっしゃろね。


 上掲のスクリーン写真ではないけど、小生が1969年に栄、広小路、名古屋駅などで撮影した7点のシルバープリントが、同館の所蔵となっている。ヴィンテージプリントといえるのかしら、ありがたいやら、恥ずかしやら、困惑しきりです。