『日本の現代写真を語る』 金子隆一著、飯沢耕太郎編著


18.8 × 13 cm pp.338
---

 全日本学生写真連盟に参加され、撮る人ではなく写真に関わる人に進んだ金子隆一さんが亡くなられて3年が経とうとしている。上掲の書は昨年末に仲間である飯沢耕太郎さんらがインタビューなどを纏めたもので、他に築地仁、山崎信、岡崎章子、荒井宏子、山口孝子、石田克哉の発言が収録されている。梓出版社、2023年12月25日刊、(定価2700円+消費税)
 彼の写真に対する姿勢と情熱、写真表現が社会に評価を得ていく過程を理解する絶好の読み物になっている。小生の半生に重なる部分も多く、久しぶりに付箋をつけてしまった。例えば「大学生の時になんとなくわかっていたことは、このお寺で父と僕の生計を同時に成り立たせることはできないということです」(25頁)「一人の学芸員が担当する展覧会の頻度は、二年に一回のペースがいちばん望ましい」(290頁) 「写真集こそが写真表現の最良の形だと考えられていた」(300頁) そして、東京都写真美術館の館長をされていた福原義春さんへの回想「とくにこだわったのが展覧会のタイトルです」(309頁) 等々、多すぎて転記できません。