展示会『歴史的』な事柄 at アート・バーゼル

f:id:manrayist:20211118194755j:plainアート・バーゼル 2021 2021.9.24(金)-26(日) ギャラリー1900-2000ブース 

f:id:manrayist:20211118210409j:plainMesse Basel Messeplatz 10, 4058 Basel, Switzerland  (グーグル ストリートビューから引用)

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 パリの画廊からカタログを送ってもらっていたのだが、紹介が遅れてしまった(9月後半だから、2ヶ月前です)。シュルレアリスムに関する文献や展覧会資料に関心をよせる小生としては、54アイテムに及ぶ、マン・レイベルメール、エルンスト、デュシャン、ミロ、ブラッサイ、デビュッフェ、河原温などの作品と、これを紹介する印刷物等の共演にうなって、ページを捲った。アーカイブに注目する昨今の流れを反映する部分もあるが、フランチェスコ・ストッキは『複雑な歴史』と題したテキストで「美術館のコレクションの一部となったとき、美術品はどうなるのでしょうか。地位と文脈の変化は、美術館という組織の枠組みの中での分類のプロセスを伴います。そのプロセスを証明するのが、収蔵品の文書やアートムーブメントの要素である。その結果、私たちは美術館で、作者、タイトル、年号、素材、出所、取得日などの標準的な表示がなされた対象物に出会う。しかし、作品が収集される前はどうだったのでしょうか? 美術史の一部として正式な地位を得る前に、その作品はどのような状況に置かれていたのでしょうか。いくつかの作品がどのような人の手に渡り、誰に興味を持たれ、あるいは誘惑されたのかを理解し、作品が参加した展覧会や作品を説明する様々な書類について説明することは、アーカイブやテキストの中に守られたままのストーリーを表現し、明るみに出すための方法です」と語っている。マン・レイの作品が持つ物語に親しく接してきた小生は、時間の経緯、人の手の痕跡が、よくわかるのです、ですから、ほんと、欲しい。カタログは「特定の展覧会」(ピンク)「出所の物語」(ブルー)「作品掲載の出版物」(イエロー)の三章から構成されている。マン・レイの場合は、レイヨグラフ『エドガーキネ通り』(雑誌・ミノトウル)、写真『トラック』(雑誌・シュルレアリスム革命)、コラージュ『ガラ・ジュデックス』(雑誌・ヴァリエテ)、油彩『構成』(旧蔵・ルイ・アラゴン)、デッサン『マドンナ』(未刊・カタログ/カード)が認められる。上掲したブースの写真を凝視して、「いいなー、欲しいなー」と涎を流しておりました。
 フランスのカタログ・デザインは用紙を三色使い分けてお洒落。プライス・リストは怖い、我慢、我慢。

 

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26×19.1cm pp.84

 

f:id:manrayist:20211118194821j:plain16. 写真『トラック』(雑誌・シュルレアリスム革命)

f:id:manrayist:20211118194831j:plain31. 油彩『構成』(旧蔵・ルイ・アラゴン)

f:id:manrayist:20211118194841j:plain49. デッサン『マドンナ』(未刊・カタログ/カード)