1955年 謹賀新年 ジュリエット&マン・レイ

愛しのマン・レイ展 出品: 26413.9 × 8.8 cm
---

 上掲は先年、パリのドルオーで入手したマン・レイルイス・キャロル(マルセル・デュシャン)に贈ったとされる1955年の年賀状。露光を与え黒くした印画紙に、白い顔料で裸婦の素描と新年への挨拶が記されている(同じ手法で描かれた別の葉書ではgreetings)。


 残念ながら展覧会の会場ではお見せできないが、裏面には「親愛なるルイス・キャロル ── 貴方の詩を隠さないでください。ジュリエットが必ず貴方を見つけ出しますから」という不思議なメッセージが記されている。1898年に亡くなった『鏡の国のアリス』の作者とマルセル・デュシャンとの親和性については、『大ガラス』の例から疑う余地はないが、1954〜55年にかけてのデュシャンの生活は54年1月のティニーとの婚姻、翌年のアメリ帰化へと続く。古くからの友人間の内輪話に興味が尽きない。


 本作は筆者にとってオークションで知る2度目となった作品で、マルセル・デュシャン関連が多数出品された2000年のオークションに出品された折、専門家の解説で「ミシェル・レリスがキャロルの『鏡の国のアリス』とデュシャンの『大ガラス』への繋がりに言及している」とあった。以来、美術評論家としても知られるレリスの、その資料を探しているのだが見つかっていない。どなたかご教示いただけないだろうか。