「絶対の隔離展」ポスター

 勧業館の古書市へ落穂拾いに出掛けるも、とっかかりの萩書房に状態の良い1930年代の写真年鑑が多数出ていて興奮した。でも手許資金が寂しい。会場でシュルレアリスム関係の古書を多数みかけた、わたしの上の世代が、定年をむかえ人生を見直し、再出発をはかるタイミングなのかな。必要なものは家蔵しているから、背表紙を見て過ぎ去った時間を考える。お金が欲しいな。結局3時間ほど探して、萩書房で中山正子著「ハイカラに、九十二歳」(1987、河出書房新社刊)サイン入りと高山文庫で藤富保男箸「近代詩人評伝・北園克衛」(1983有精堂)の二冊を求める。桝冨で軽く遅い昼食を済ませた後、水明洞、中井書房、三月書房、メディア・ショップと移動。半袖でも暑い。河原町蛸薬師の路地を入ったエレファント・ファクトリー・カフェに上がりモカ・ブレで一服。しっかりとしたドリップで美味い。求めた本をパラパラめくりながら、マン・レイが掲載されていた「モダン・フォトグラフイー」誌(1931)がほしかったなと思う。解放された窓から入る風が店を楽しみ抜ける。隠れ家のようで、気持ちが良い。

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 帰宅すると、東京のカメ吉さんから、配達記録郵便が届いていた。数日前にネットで出会い、古いポスターを注文していたのだ。エアパッキンで丁寧に梱包された筒を開けて取り出す。カメ吉さんも愛着を持って保管してこられたと感じた。一枚はパリのシネドックで1986年に開催されたマン・レイの映画上映会ポスター(60.1x40.1cm)。
http://kamebunko.exblog.jp/8198503/

この催しに関しては既に、カタログと案内状とチラシを持っているので、ポスターが加わりエフェメラとしてはコンプリートとなった。早速準備中の「マン・レイ展のエフェメラ」に赤を入れる。

 もう一枚は、1965年12月8日から開催と告知する「第11回国際シュルレアリスム展覧会 絶対の隔離」展のポスター。会場はパリ左岸サン・ミシェル広場すぐのギュルリー・ダール。61.8x31.4cmのキュートな紙片にはシャルル・フーリエの肖像がアレンジして使われている。
http://kamebunko.exblog.jp/i2

独身時代に河出書房新社から刊行されたシュルレアリスム画集の付録に、この図柄部分が引用されたポスターがあって。長い間、部屋に貼っていた。L’ECART ABSOLU 若くなくても、そのように生きて行かねばならない。さっそく、部屋の所定位置にこのポスターを掲げた。

 パリからこのポスターを持ち帰った人がいたことが、嬉しい。