冷酒 いろいろ

12時30分に名古屋駅着。新幹線のホームできしめんを食す---ちょっと味が落ちた感じ。戦前の雰囲気を想像しながら広小路通りを納屋橋から東へ歩き、伏見で白土舎(森北伸展)、名古屋画廊(第4回 Salon de Colline展 笠井誠一・久野和洋・小杉小二郎・中村清治)と覗いてから、名古屋市美術館の「ピカソとクレーの生きた時代展」に入り、二階まで上がってマン・レイの油彩(詩人、ダヴィデ王)と再会。彼固有の青に見とれる。へたくそな絵だけど、何故惹かれるのだろう。髪の後ろからあてられた光は、頭上の月と関係しないし、左端の緑も変わっているよな。ところどころで光る絵の具の盛り上がりに、眼をこらす。欲しいな。不安と悲しみに彩られた肖像だな。1938年の作品には、何時も、胸がキュンとなってしまうんだ。

 学芸員室で高名な「瑛九」研究者のご子息と同席し世間話。その後、下郷羊雄の話なども聞く。気がつくと3時30分を過ぎてしまったので、急いで金山橋へ移動。それから、自宅に帰り母親と過ごす。夜はいつもの一結で兄とぶりしゃぶで一杯。生ビールから直ぐに日本酒へ。白子の焼き、目張の煮付け等を美味しく頂きながら、日本酒をいろいろ楽しむ。幸せな水の時間、渓流であったり城下町の井戸水であったりと、自然との対話だな。まず朝日山(飲みやすく、口当たりがよろしい)、続いて八海山本醸造と越乃寒梅を較べる。素朴な田舎の味と町の違いだな。利き酒は香りと一口含んだ切れ味。コップ一杯の量にはどう判断するのだろうか。ゆっくりと切れ味が落ちない町の味の後者に軍配だな。六七純米きもとは女性向けで甘い。秋鹿純米は水のごとく回っている感じ。純白二峯は弱いな、酔っぱらってきたから味も判らなくなってるけど、神亀辛口純米はハズレだった。好みの問題だけど、主張しすぎんだよね。食材を引き立てたり、寄り添ったりとお酒が言葉を変える。冷酒を喉のあたりへ移しながら、白子の焦げ目を合わせると、水の国と火の国が解け合っていく感覚だな。幸せな数時間だった。