京の地蔵盆

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京都市歴史資料館・玄関 寺町通丸太町上ル

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京都市歴史資料館で開催中の「京の地蔵盆」展を拝見した(9月24日まで)。名古屋から京都に移り住んだ50年ほど前、大文字の送り火が終わり涼しくなりかけた町中で、地蔵盆の行事を知った(史料として確認できるのは17世紀中期以降)。結婚したころの住居地では「おやつですよ〜」と太鼓がなると子供たちが走り出て、終日、お地蔵様の前から離れなかったのを思い出す。暗くなると歌謡ショウや手品、映画上映、盆踊りで盛り上がり、大人たちもビールなどを楽しみ交流の輪を広げた。子供たちの健康・幸せを願う素朴な信仰、町内安全、地域の交流と理解してきたけれど、昨今では高齢化で寂れ、見ることが少なくなった。さらに今年はコロナ禍の感染拡大阻止対策で、どの町内も規模を縮小されたようで、子供や大人も辻に現れない寂しい夏の終わりとなった。こうした時代の流れ故か、近年では行事の研究もなされ、関係資料の寄贈などを契機として資料館での展示が実現されたと云う。でも「お性根抜きされ」町内から離れたお地蔵さんに手を合わせるのは、落ち着かない。

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中京区下高倉町(旧町名)にあった地蔵盆の祠、地蔵様。

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東西町の祭壇敷布 明和2年(1765)

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展覧会では、写真家神谷潔氏(1950- )が撮影された地蔵盆の記録がたくさん展示されている。これは懐かしい、しかし、拙宅あたりの地蔵盆とはずいぶん違いますな。古い写真を探し、いずれ紹介したいと思う。