「写真の都」物語 21 ── 髙橋章写真集『断層』現代高校生の記録

昨日のブログで紹介したように、全日合宿の夜を撮影していた髙橋さん。その人から当時の様子、「写真」についての問、「カメラと視線が一致する写真」そして、「断層」と云うタイトルに込めた思いなどをうかがった。彼は対峙する眼を持ち真剣に「写真」ってなんだろうと問いかけ名古屋まで来たという。前日まで、わたしは「撮り鉄」に熱中しておりました。

 さて、「写真をとおしての人生」あるいは「人生をとおしての写真」を自問していた全日(中部も含め)の関係者(人生を社会と読み替えてもよいけど)のなかで最終解説会の会場でパチリ、パチリをやっていたのは、彼とわたしぐらいじゃなかったか。パチリをしておくこと、やがてアートになります(ハハ)---と、発言すると、「マン・レイに叱られる」

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髙橋章 『断層』から 

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 写真集の最初の見開きに上掲した写真、下に手書き文字で「私は見た! 私は見た、小さな人間のいることを 私は見た、彼らの見知らぬ断面を 私は見た、教育の贋造物を 私は見た、自由を望む小さな命のあることを」とある。

 

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 髙橋章 胸には連盟バッチ。

 

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21×15.2cm pp.32 当時のチラシによると、定価480円、送料80円、発行日1974年1月10日 取扱い株式会社491 

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 生写真を貼付けた自作写真集を制作していた髙橋のところに、卒業して数年後「合宿の時に見せてくれた写真どうしました、写真集を出したいのだけど」と491の人から連絡が入ったと云う。自作本よりもサイズは小さくなったが、こうして世に出た写真集。旅館の畳の上に並べられていた写真が本の形になった、手にした時、多大な影響を受けた。挿入された叫びのような自戒のような言葉がまた良くて‥‥ わたしも「写真」や人生、社会を真剣に考えていた一人だったと思う。青春の日を思い出しつつ、髙橋さんの自書にサインをしていただいた(感謝)。

 

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  名古屋市美術館ミュージアム・ショップでは、入手困難な希少本となっている『断層』をプレミアム価格(税込 7,800円)とはなるが「お一人様一冊に限って」販売されている。興味のある方には手にとってもらいたい(品切の場合はお許しください)。