マン・レイ『自然絵画 1958-1971』at MAISON D'ART, LOS ANGELES

 先月、マン・レイの『自然絵画』に焦点を絞った展覧会(2002.4〜6)のカタログを入手した(7月19日ロサンゼルス発、ルイスビル、アンカレッジ経由、7月26日受領)。これは、マン・レイが1950年代の後半から「板やバネルに速乾性の絵具を厚く塗り、その上にもう一枚のパネルを置き、その上に座って両者を圧着させた」技法で、驚くべき色彩とディテールを得る作品である。しかし、子供の遊びとして軽視され、美術作品としては評価されないまま、今日に至った。── だれも、したことがない技法なので、だれも、意味に気が付かない。カタログのテキストでアンドリュー・ストラウスは、1910年代のアエログラフ、20年代のレイヨグラフと同列に技法をとらえ「色彩と光にあふれたオリジナリティー、革新的な絵画シリーズ」であると称賛している。── 小生も入手したいと思っているのだが、チャンスに恵まれないまま高騰してしまったのは残念である。

25.2×21cm 72pp. 16作品 テキスト: アンドリュー・ストラウス、ティモシー・バウム

---

 ゆったりとした空間に、ポツリと『自然絵画』が掛けられ、フラットな白い壁一面に色彩が広がっていく様を思い描く。カリフォルニアの青い空が、そこに覆いかぶさっているのだろうな、観たかった。