市民コレクターによって形作られたと聞くケルンのルートヴィヒ美術館展(10.14〜2023.1.22)に出掛けた。チラシを見るとマン・レイの『レイヨグラフ』が含まれている。ビンテージだったらと期待したが、サインがあるものの複写プリントだった(残念)。元が絹目の印画紙と思われるので階調は失われている。ギャラリースコープでの点検を試みたが照度の関係からか、シャープさが出ない。作品解説に「リヒトグラフィック(lichtgraphik)」とあるが不勉強で意味を知らなかった → 辞書によると「絵画主義的写真から脱却し、写真独自の機能を意識し直すことから始まった新しい写真。抽象光画」の意味。「抽象光画」ってどんな作品を示すのだろう、ハインツ・ハエック・ハルケ? 瑛九も当てはまるのだろうか?
展示された3点はすべて、マン・レイと交流のあったフィリッツ・グルーバー博士から1977年に購入したものという。カタログには94番で『ジャン・コクトーの肖像』が紹介されているが、会場で確認出来なかった(機会があれば尋ねてみたい)。細かい事だが国立新美術館(6.29〜9.26)でのチラシ図版の『レイヨグラフ』は、写真の向きが違う、現物を観る前に出稿したんだろうね、まあ、いいか。
今展では紙の出品作品リストは作らなかったようで、QRコード読み取り対応となっている。これだと、会場で興味を持った作品のチェックがしずらいのですな(そんな人は居ないか)。興味を持った作品の備忘録── グロス『エドゥアルト・プリーチュ博士の肖像』(1928年)、ポロック『黒と白 No.15』(1951年)、ジャスパー『0-9』(1959年)、ウォーホル『二人のエルヴィス』(1963年)『ホワイト・ブリロ・ボックス』(1964年)。写真ではロトチェンコの『ライカを持つ少女』(1934年)、オットー・シュタイナー『片足通行人』(1950年)。結局、ドイツ的な美術が苦手と思うことにした(お許し願いたい)。
カーチャ・ノヴィッコヴァ『疑似「ハシビロコウ」』(2014年)