高橋善丸、杉崎真之助 出版記念パーティ

 早退して大阪へ。阪急車内で「文化解体の想像力」(人文書院、2000年)を読む。阪急古書のまちをぶらぶら、買いそびれていたビエール・マビーユの「驚異の鏡」(国文社、1972年)を太田書店で購入。このところ、シュルレアリスム関係の文献を読み直している。マン・レイに限定した研究から、時代状況へ関心が拡がってきた訳。10代後半で社会に出る不安感からダダ、ついでシュルレアリスムへと熱中したように思う。いままた、次ぎの社会が始まる不安感からか、書物を求める気分となっている。アルカードの吉永氏と「マン・レイ展のエフェメラ」の話、英文表記やブツク・デザインについてのアドバイスをいただく。その後、心斎橋へ。アセンスをのぞくが品揃えの劣化が顕著であきれる。美術洋書を路面店で物色するのは不可な時代だな、アメリカ村のランダムウオークに行くも、12月26日に撤退したとの張り紙、「ああ」と嘆く。界隈で喫茶店を探すが思わしい店が見付からない。ゆっくりと先の本を読みたいのだが。なにわ筋まで歩いてもダメで、色街に迷い込んだ感じ、心斎橋に戻り看板に気付いてストランド・ブツクストアに入る。購入前の本を自由に読める喫茶スペースを併設した広い店内。しかし、ありふれた書物のラインナップとただようカレーの匂い。読むのをきらう照明を落とした書棚。雑貨と喫茶と書籍。インテリア化された書物の背表紙、ピンナップ扱いの面だし。珈琲を飲みながら、ぼんやりと女性客を眺める。

 さて、今宵の目的は、古い友人の高橋善丸氏が杉崎真之助氏と組んでドイツ・ハンブルグ美術工芸博物館で開催した展覧会「真 善 美」の報告をかねた展覧会カタログ(作品集)の出版記念パーティへの参加である。会場は堀江公園南側のカフェモード。トークの司会進行は植木啓子(サントリーミュージアム[天保山])さん、ゲストに大阪市立近代美術館建設準備室の菅谷富夫さん。展覧会の楽しみから始まって、ハンブルグの街、展覧会会場の様子などを伺う。ライバルでもある二人のグラフィックデザイナーが、掛け合い漫才のように、場を盛り上げながら、デザイン観や人生観を語ってくれた。7時半からパーテイとなったが、200人以上はいるだろうか、人をかきわけシャンパンを飲み、カナッペをつまんで、世間話を少々。そして、「曖昧なコミュニケーション 高橋善丸のグラフィックデザイン」と題されたカタログに作者と二人の学芸員、加えて須川まきこさんのサインを頂いた。良い気分で帰宅、阪急電車でうつらうつら、京都に着いたのは12時近くになってしまった。

 展覧会は昨年の11月23日に始まり2月24日まで。開催中だけど、拝見するには飛行機に乗らなくちゃ。