キャパの十字架


『キャパの十字架』32-33頁 グラフ誌「VU」1936.9.23号の頁が紹介されている。

横浜美術館で開催された「ロパート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展の招待状 2013.1.26 横浜美術館グランドギャラリー 15:00〜
ロバート・キャパの自伝的冒険活劇『ちょっとピンぼけ』(ダヴィッド社)を教室に持って来て「面白いね」と言って笑ったのは、写真部の友達S君だった。「撮り鉄」のわたしがドキメント派のS君に教えられた事柄は多いけど、キャパの写真の多くは輝いていた、仕事や友情や恋やアルコールを含め、カメラを持つ高校生すべての憧れであった訳。そのキャパがスペイン戦争を取材した有名な写真「崩れ落ちる兵士」にまつわる不可解な事柄をノンフィクション作家の沢木耕太郎が解明するスリリングな書『キャパの十字架』(文藝春秋、2013年刊)を読んだ。写真に「やらせ」の要素が入った例は沢山あると噂されるけど、具体的客観的に調べ上げ書き記し、一冊の本のテーマとなったのは、本書が最初ではないかと思う(違うかも知れません)。沢木は自身のたてた仮説を検討し情況証拠をこえて決定的な物証に至らせる。アプローチが独自で、興味深いエピソードが盛り沢山。
 特にうなったのは、田中長徳から借りたライカIIIAとローライフレックス・スタンダード(キャパ達が使ったカメラと同型の可能性が高い)を、特定した撮影地エスペホで、実際に撮影し、トリミングの実測を検証される手法だった。これには「沈胴式レンズ」と云う落ちがついていて、惹き付けられた。謎解きの詳細と沢木のスタンスなど、詳しくは本書を手にされて、お楽しみ下さい。

      • -

 尚、本年1月16日から3月24日を会期に横浜美術館「ロパート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展が開催された。二人展の形式で行われた約300点の写真作品と関連資料。観に行きたかったけど、関西には巡回しなくて残念だった。「小柄だが溌剌とした赤毛」(173頁)のゲルダに憧れます。魅力的な女性ですね。

同書325頁に掲載されたハンス・ナムートが撮ったキャパとゲルダの後ろ姿(原図から拡大させていただいた)。