L'AMOUR FOU PAR ANDRE・ BRETON ed. GALLIMARD 1945 P.72-73
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自室が落ち着き、書棚からお気に入りの書物を取り出している。先年、画家の友人からパリ土産として託されたアンドレ・ブルトンの『狂気の愛』(ガリマール 1945年)には、いくつかのオブジェと共に「向日葵」の写真も含まれ楽しませてくれる。わたしは若い頃からマン・レイに魅せられてきたが、オリジナルの写真以上に、文献中の挿画(大量生産の印刷物)に心ときめいてきた---今も同じ気持ちでいる。ブルトンのコレクションとして知られる「向日葵」の写真は、詩集『白髪の拳銃』が予知した未来と繋がる重要なイメージで、詩人の世界が写真に現れた事例として、わたしに目眩を起こさせる。美しいブルトンの言葉を追いながら頁をめくるのは、写真と密着する事になり、次の74-75頁に指先が戯れて行く。そして、右頁上段に置かれた「ブロンドに輝く髪のあなたは、朝の薄明のなかの肉体もすばらしく魅力的なので、あなたはこの花開く宝物と一体をなしている。」(海老坂武訳)とする文言に、夢を観、悶えてしまった。