非常時のモダニズム / 五十殿利治


五十殿利治著『非常時のモダニズム---1930年代帝国日本の美術』(東京大学出版会、2017.3.24刊 定価本体7,400円) 21.7×15.7cm pp.162

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1932から33年にかけて開催され、日本国内(東京、大阪、京都、福岡、熊本、金沢、名古屋)だけでなく満州の大連まで巡回した『巴里・東京新興美術展覧会(巴里新興美術展覧会)』や瀧口、山中が尽力した1937年の『海外超現実主義作品展』への関心から読み始めたところ、欧州との関係を含めた当時の美術界が俯瞰的理解とともに詳細まで判って、なかなか止まらない。前述の二つの展覧会を拙著『三條廣道辺り』(銀紙書房、2011年刊)で言及していた頃に立ち返っての確認も幾つかあり、空白のままだったピースを埋める事が出来た(感謝)。著者の五十殿氏は1951年のお生まれ、先日、ブログで取り上げた西野嘉章氏は1952年なので、同世代のわたしも『マン・レイ受容史』に向けて頑張らねばと思った。