ジョゼ・ピエールに献呈したカタログ

 7月4日のブログに書き込んだニース在住のアントニー氏から、ロサンジェルスで開催されたマン・レイの回顧展カタログ(1966年)が到着した。このカタログ、数冊持っているのだが、氏の出品したのはジョゼ・ピエールに宛てたマン・レイの献辞が入ったもの。送金手続きに苦労したが、状態も良く、マン・レイの筆跡も楽しく満足している。

 どうして、ビットしたかといえば、ジョゼ・ピエールの名前を美術手帖のシュルレアレリスム特集号(1970年12月)で知っていたからで、パリの五月革命の余韻が同号にはただよっていて、江原順訳編によるジャン・ゴードン、ジャン・シュステル、ジョゼ・ピエール三氏の記事が、10代後半のわたしに残っていたからである。ジョゼは「造形美術のなかのシュルレアリスムの現在」を書き下ろしている、時代状況が判って興味深いが、氏の写っている写真もあって、記念写真好きのわたしは、うなってしまうのだ。特にサン・シルク・ラ・ポビーでジョゼ・ピエールらと共にうつっているのなんて最高だ。この若者にマン・レイはプレゼントしたんだな。マン・レイの献辞には、年号が入っているのが普通だが、これには書き込まれていない。どうしてだろうか。

 LAのカタログに、1972年にパリで開催されたマン・レイ展のプレス・リリースが挟まっていた、これも気にかかる。結局、移動する物の運命に、わたしは惹かれているのだな。