その他と云う謎めいた分類種別 at 京都国立近代美術館

午後から市内を自転車でブラブラ。桜もつぼみ、七分、満開、葉桜といろいろ。来週あたりかと思っていたけど今年の京都はバラバラと咲いて終わるのかな。祇園白川も綺麗でライアップされたら妖艶な色になるだろうな、こんな色には柳の緑も美しい。


 今日は京都府立図書館に調べ物で出掛けたのだが、隣の京都国立近代美術館で開催中の「マイ・フェイバリット---とある美術の検索目録/所蔵作品から」展にびっくり。本好き、資料好きにはこたえられない展示ラインナップだった。最初に観たデュシャンのオブジェ(雑誌トランジション26号と表紙に使われた犬用櫛のオブジェが並陳されているのよ)やマン・レイの「アングルのヴァイオリン」などはよく知っているけど、4階に置かれたアバンギャルドの文献資料がすごい、スティーグリッツが291画廊を開設した時のポスター(1915年)があるのだから驚き、興奮した。291に載った「三等船室」のフォトグラーペが綺麗なんだ。ブルトンアラゴンツァラの状態ピカ一の初版本がケースの中で光っているし、最新のフォトアルバムではページが捲られながら映し出されている---これがしたかったのよ。アンドレ・ブルトンの「5通の手紙」(1967年)など知らなかったから、嬉しかった。旧知の学芸員K氏が関わったコレクションとの事だけど、その都度、拝見していてなつかしいものも多いし。玄人向きかも知れないが、同好の氏にはおすすめである。尚、会期は5月5日まで(観覧料一般850円)、記念講演会もいくつか予定されている。4月3日の利岡誠夫氏の話は、コレクターの先輩なので、ぜひとも参加したいと思った。取り急ぎ、報告。


同展カタログ(1400円)には以下の記述が「しかし細分化されている当館の分類群の中に、【その他】(Non-Category)という謎めいた分類種別が存在することはあまり知られていません。興味深いことに、常套的な分類種別を適用することが困難な作品を「暫定的」に分類するために1978年度から設けられたこの種別の最初の登録品は、マルセル・デュシャンの《ヴァリーズ(トランクの中の箱)》(1955–68)でした。種別【その他】には、収蔵時点で美術作品として広く認知されているとは言い難かったもの、複数の技法を駆使するもの、明白に分野横断的な問題を志向しているものなど、分野や技法が重層的に重なる作品・資料が多く分類されており、当館の種別【その他】は、私たちが近・現代の美術表現の多様さを理解する上でとても有益な手掛かりを提供してくれます。」