良い年でありますように。

明けましておめでとうございます。
旧年中はお世話になりました。本年も宜しくお願いいたします。

祇園・花見小路 一力 しめ飾り

松飾り(雌松)

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昨年は展覧会『マン・レイのパリ 1972年』(西川勲企画、京都・四条河原町「ギュラリーマロニエ」12月4日から16日)に全力投球した一年だった。毎年、マン・レイに狂い、その年のテーマ(?)に沿って調べたり、作業をしたりしてきたけど、そのほとんどが蓄積型(銀紙書房本の刊行があるからちょっと違うか)なので、皆さんに楽しんで頂く展覧会の開催は、2004年のハウス・オブ・シセイドウ(東京・銀座)以来の八年ぶり(地元京都では2002年のカフェ・マン・レイ)だったので、本人も存分に楽しんだ。わたしの収集は展覧会会場で作品や資料が緊張感を持って補完しあうよう、考え計画して集めるスタイルなので、その成果を見て頂くと云うか、採点していただく機会であった訳で、緊張もしたが、楽しみも多かった。
 展覧会の準備から開催日に至る経緯については、「ギャラリーときの忘れもの」のブログに3回連載で報告したので、そちらを参照していただきたいが、前年7月に刊行された西川長夫著の『パリ五月革命 私論-転換点としての68年』(平凡社新書)に随分助けられた(マン・レイを集め始めた頃のわたしを知る手掛かりを与えてくれた)。これを読んでいたタイミングと西川勲氏が展覧会を企画されたのが一致したのは偶然とは云え、展覧会に奥行きを与えたと思う。展示コンセプトを決めた後、会場空間を考慮(毎年、京都写真展で使う3階)して展示品数を調整し、展示什器の試作。夏頃までこればかりしていたが、デカルト(フランス)の古書店で古新聞などの1次資料が買える事に気づいて嬉しかった。40年前の新聞がそのままの状態(変色はしているけで)で、日本まで送られてくるのだから堪えられない---フランスは不思議な国である。そんな訳で、展覧会への熱中へ突き進みテキストを書いたり、カタログの書容を検討したりで、収集が手薄になった(と云う事はなかった---内緒です)。

 展覧会が終わって16日、撤収した展示品の整理を済ませないままで元旦を迎えてしまった。3日までにはなんとか追いつきたいけど、やることが多くて挫折しそう。今回の展覧会を契機として再会が実現したり、新しい出会いが生まれたりで、整理するより前へと進みたいのが本音。昨夜もマン・レイ研究の先達ヤーヌスからメールを頂いた、彼は「芸術を表す神は情熱にあり、鏡となった写真はマン・レイの狂気を写している。情熱のない人生を送ることなど出来はしない。トリノから「新年おめでとう」」と書いている。「情熱」と「狂気」こそマン・レイを愛する者に共通する言葉だと思う---続けなくては。

 エフェメラに関する昨年の新収集品は、1962年にパリ国立図書館で開かれた『マン・レイ写真展』の案内状(こいつは嬉しかった)と、マン・レイポール・エリュアールによる詩画集『容易』の出版案内(G.L.M.、ca.1935)。こうした珍品をネットオークションで見付ける事が困難になって、昨年はどうなるかと心配だが、一年365日、一日24時間検索し、なんとかなる結果に繋がったと思う。2013年も頑張ろう(笑)。

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 昨年、わたしが観た公立美術館の展覧会で記憶に残るのは、草間彌生(国立国際美術館、1月21日)、村山知義---すべての僕が沸騰する(京都国立近代美術館、4月14日)、エル・グレコ(国立国際美術館、10月15日)の三つ。シンポジウムで刺激を受けたのは、「コレクションの誘惑」展に関連した国立国際美術館での「写真の誘惑」と「視線の行方」(5月12-13日)と、モデレーターに坂上しのぶと塩田京子を配したギャラリー16での現代美術・リレートーク(9月25-29日)。街の画廊ですがすがしい印象を持ったのはCHOJU contemporary artでの太田三郎展(5月3日)、楽しかったのは林哲夫作品展の「パリの書店を描く」(ギヤラリー島田、6月16日)、わたしもやらねばと激励された感じを持ったのは、京都写真クラブの仲間である竹田雅弘による「引用は嫌いだ。自分で語れ。」(ギャラリーマロニエ、6月23日)だった。東京で開催された宮脇愛子展 (ギャラリーせいほう、ギャラリーときの忘れもの、7月7日)については、このブログでも詳しく書いた。---前述の全ての展覧会について書いているか(笑) 

 昨年もいろんな事があった。楽しい事もしんどい事も、ごちゃまぜに押し寄せた感じだった。それを思い出しつつ見た大晦日の宮崎亮、次いで井岡一翔のボクシング世界戦のテレビ放送に興奮したけど、読売新聞元旦一面の「TPP機密海外流出か」と云う見出しを読みながら、正月からこれじゃ、かなわないと落胆。今年は良い事があるだろう、良い事は自分で見付け、作り出さねばと強く思う。その為には、健康な身体と気楽な心持ち。マン・レイに関する新しい企画を幾つも持っているので、ゆっくり確実に形あるものにしたい。正月休みもお酒ばかり呑んでちゃいけないか(笑)。

 展覧会で活躍したスイスクリップ。パッケージの表面には、以下の表示。 Spring loaded Clips frame any size or shape POSTER / Frameless Swiss Poster Clips 5000