備前焼「陶 細川」


若い友人に誘われ備前焼の窯元見学に出掛けた。京都南から入って備前まで157km、およそ1時間30分。 お世話になっている陶工の先生とお話しした後、伊部から国道374号線を吉井川に沿って北上し和気町父井原へ向かう。若手作家の細川敬弘氏の工房「陶 細川」は西側(53号線)に渡って直ぐの場所。手入れされた古民家を工房とされているようだった。
 同行の若い友人たちは器が好きで、全国の焼き物の里を訪ね、気に入った品物を求めている。その中でも特に注目していた作家が細川氏、作品を岡山での個展で拝見し、今回の訪問を楽しみにしていた様子である。

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 山間地は車でないと訪問できない。ペーパードライバーのわたしには新鮮な体験である。連れられて玄関を入ると、敷物はギャッベ、柄と色彩のセンスがよくて、備前焼の陶工 といった先入観が消えて膨らみ、ここは「画家のアトリエじゃないですか」楽しく、土と共に暮らす生活のスタイルが、憬れの空間となっている。素敵でよろしいね。

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細川敬弘氏

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黒板消しが吊り下がり、シンプルに「ようこそ」 留めてあるのは、開催中の『豆皿だけのうつわ展』案内状(アートスペース油亀---岡山市北区、4月9日(日)迄)

玄関のギャッべも可愛い

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 取っ手のついた、片口酒注ぎ。水に濡れると美しい肌に変わる。細川さんが愛おしく掌に包んで説明してくれると、冷酒を呑んでいる気分となった。---清水が土の間から染み出して濾過される感覚。「通気性があるのでシャンパンや白ワインには向きませんけど、赤だったら、まろやかで良いですよ」、焼き締めた備前焼きが水を含んで土に還る、その変化のおすそ分けが冷酒に伝わる、呑みたくなってしまいました。

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 陽の降り注ぐ、のびやかな前庭、土を確保するスペースも用意されて、美しい奥様と共に作陶に打ち込まれる細川氏は、1979年岡山の生まれ、祖父の竹村永楽氏の登り窯を受け継がれたとお聞きした。拙宅の室礼は素人のものだが、創作と生活が一体となったプロの空間には、憧れますね。
 玄関で記念写真を撮らせていただいた後、湯郷温泉に移動。冷酒を呑まなくちゃ。