今年も、楽しいことばかり。

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京都 2019.12.5

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[2019年回顧] 

 コレクションには当たり年というのがあって、長く探してきたデュシャンからのオマージュが入ったマン・レイ展の案内状(1963年) → 「マルセル、きみは寂しそうだ。」 を筆頭に、1917年のニューヨークでのグループ展カタログや、シュルレアリスム画廊での「マン・レイと島のオブジェ」展のカード(1926年)から、瀧口修造マン・レイ論が載った「フォトタイムス」(1931年)、鳥居昌三のオマージュ『FACILEの横顔』が載った詩誌「紫水晶」(1963年)、アメリカでのマン・レイ展「永遠のモチーフ」の折に発行された新聞(1989年)などなど、今年は最高に充実した内容となった。その多くは、長い友情の証に送られてきたもので、わたしはその都度歓喜した。----近年、ネットオークションやネット書店では凡夫なものしか見つからない。

 また、刺激的なマン・レイの展覧会が世界中(マドリード、八王子、サンパウロ、ニューヨーク、マルセイユトリノ)で開催された結果、楽しく情報収集に励み、このブログでもいくつかを紹介させていただいた(カテゴリー:マン・レイ展参照)。特にマン・レイの油彩を重点的に紹介したニューヨークのDI DONNAでの『謎と欲望』展は、詳細が判るにつれて拝見出来なかった事を悔やんだ。→ マン・レイの油彩展に行きたい!!

  銀紙書房の仕事としては8月に『眠り姫物語』を上梓。内容を評価して下さった為か、限定25部とした為か、多くの方々からの注文はFB告知・即終了となった。この他にも小部数での記念出版を行い、こちらも、高評価をいただいた。

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 今年は、4月のマン・レイ展と、12月の羊歯齋文庫を拝見する為に東京へ、また、5月後半にブレグジットで揺れるイギリスに旅行。銀紙書房の仕事が停滞するけれど京都を離れるのは楽しい事柄だった。特にイギリス周遊ではシェイクスピアへのオマージュを作品にして京都写真展に出品、例年のコンセプト過剰(人様には)な写真よりも「判りやすい」と多くの友人・知人から評を頂いた。力みのない平明な写真表現も捨てがたいと言えるのかも知れない。

  さてさて、本年最大の幸せは、幼い友人を得た事、希望は未来に続きます。

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ケンダル 2019.5.27

 

GOOD NATURE STATION at 河原町四条下ル

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河原町京阪電車高島屋がコラボする複合商業施設「グッド ネイチャーステーション」が開店した(12月9日)。早速、若い友人とパトロール、高級感あふれる建物で健康志向。4階から9階までがホテル、ロビー階からの吹き抜けを見上げロッキングチャアーでゆらゆら、気持ち良いですね。

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一階のパティスリー&チョコレートの「RAU」もお洒落、さっそく市場食堂でシェアしました。女の人が多いですね、お酒の量り売りもあるので、次回は挑戦したい。

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銀紙書房通信 マン・レイ受容史-4

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開店休業状態の銀紙書房ですが、先日、東京都写真美術館の図書室を訪ねてアサヒカメラの創刊年の号やフォトタイムスの1938年前後、加えて貴重な新興写真研究などをオリジナルからコピー。そして、10月に手配した大宅壮一文庫資料とともに、表紙に合わせて読みやすく整理(コピー資料をホッチキスで留めてはいけません)しております。

 「来年には刊行しますと」東京でも宣伝をしたので、テキスト執筆にかからなければ--- 

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あれはすごい、すごすぎる。

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羊歯齋文庫コレクションの素晴らしさに恐れおののき、夜の街をトボトボ。同行の友人と焼き鳥屋でお互いのコレクション談義。「世の中にはすごい人がいるものだ」。考えれば発祥の地に驚愕のコレクターがいるのは承知の事で、この東京に居ても不思議ではない。なれど、これまでパリから送られてくるオークションカタログで見ていたシュルレアリスム資料が(見ただけで、ビットはしておりません)、飛んできているのだから、参りました。しがないリタイアコレクターは、この先、どうやって楽しんでいきましょう。-----「集めるのではなく、作品を観る、世界中を観て歩く」と宣言した事もあったっけ。煩悩ばかりの人生です。

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21時10分東京発の「のぞみ263号」で帰京。車内で「キリン一番搾り500ml」目が覚めたのは名古屋でした。

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羊歯齋文庫

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「その手袋はやはり女物で……」というわけではありません。

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今年になって知った驚愕のシュルレアリスムコレクターとお会いする。ネット検索ではほとんどヒットしないように仕組まれた秘密の展覧会は、2016年から開催されておられ、今回で8回目(後1回で終了とも)と聞くが、状態の良いこれほどのシュルレアリスム資料や文献が水天宮近くのビルの地下に展示されているなんて「驚いた── 他に言いようがない」。文庫主人の関心領域や収集の軌跡などを推測すると生半可ではこの成果を得る事はできなかっただろう。東京やパリの関係者との太いパイプに羨ましくて、悔しくて、マン・レイからブルトン夫人に宛てた弔電をしばらく覗き込んでいた。

 主人が撮った「レオーナ・デルクール」(ナジャ)のお墓の銘板に涙があふれるほど感激。展覧会は明日27日(金)〜29日(日)の三日間で終了との事なので、観ておかれる事をおすすめしたい。尚、展示風景の撮影は認められていない。

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 ブルトンの書斎の窓に置かれていたマン・レイの『DANGER』の意匠がわたしを迎えてくれる、主人の心憎い演出に感謝。

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11月3日の報告を参考にしてもらいたい。

manrayist.hateblo.jp

 

 

ときの忘れもの

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先日、駒込の「ときの忘れもの」で難波田龍起さんの作品と経本仕立てのオマージュ本を拝見した。アトリエに遺されていた作品を「見て読む鑑賞」になっていて、愛あふれる良い展示だった。尚、展覧会は28日(土)迄。

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綿貫さんが画廊コレクションの銀紙書房本を紹介して下さった(深謝)。

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聖夜

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東京にて……

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「かみさまは、ナザレトのまちにすんでいる、マリアという、こころのきれいなおんなのひとを、かみさまのひとりご、イエスさまのおかあさまに えらばれました。そして、かみさまは、まりあさまのところへ、てんしをおつかわしになりました」

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聖劇の台詞と二枚目の写真は関係ありません(念の為)

ご高覧お礼『京都写真展』

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ギャラリーマロニエ3階 『ソネット』 2019.12.22 17:59

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今年の展覧会も無事に終わりました。ご高覧いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。多くの方々から好意的なご意見をお聞きしました。コンセプトよりオーソドックスな写真。いろいろ考えながら、写真道を進めていきたいと思います。

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久しぶりに赤尾照文堂を覗いたら55年前に発行された「本の手帖」の「特集 シェイクスピア生誕四百年記念」号が目にとまった。欧米人のシェイクスピア感を知らないと、小生の写真も判らない---そんなことは、ありません。とはいえ、雑誌で西脇順三郎は「シェイクスピアについてどんなささいなことを批評しても、それは一つの文学論となって重要な意見となり得るものであろうからうかつには出来ない冒険である」(6頁)と書いている。マン・レイの油彩連作に『シェイクスピア方程式』があるのを報告しなくちゃいけなかったかしら。

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作品撤収の後、5階で「The Photo 忘年会"`PHOTO PARTY"」を開催。 Iさん農園の無農薬野菜やM婦人の茹卵、餃子の王将、オーナー差し入れのお寿司などで豪華なパーティー、お酒も沢山いただきました。

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「ソネット」展示最終日 

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シェイクスピアの生まれ故郷・ストラトフォード・アポン・エイヴォン

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シェイクスピア像(版画: チャンドス・ポートレイト)

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ハーフティンバー様式の古いホテル「メルキュール・ザ・シェイクスピア

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 17日から始まった『京都写真展』も、本日が最終日。みなさま「ソネット」の解説にもお付き合いいただき有難うございました。出品7点の撮影地はストラトフォード・アポン・エイヴォン、レイクサイド、バイブリー、ケンダル。短い夏の短い旅行でしたが、また、行きたい。シニアは人生を振り返り、明日を夢見て「ソネット」を味わってしまいます。

「And every fair from fair sometime declines, By chance or nature's changing course untrimm'd; 」→「美しきものは、皆、偶然に、あるいは自然の流れに沿って、すたれゆく」(河合祥一郎訳)」

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 本日22日(日)は、ギャラリーマロニエに於いて『京都写真展』のレセプションパーティーを13:00〜15:00,展示は18:00迄で、搬出の後The Photo 忘年会を(一人一品持ち寄り)19:00〜21:00に行います。どなたさまも奮ってご参加ください、お会いできたら嬉しく思います。

「ソネット」(3) 四行連

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だが、君の永遠の夏は色あせない。

君の美しさが消えることはない。

死神にも君を自分のものとは言わせない。

永遠の詩のなかで君は時と結びつくのだから。

 

           シェイクスピアソネット-18番」 部分 河合祥一郎

 

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永遠: とわ

「ソネット」(2) 四行連

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天の烈日は、ときに熱すぎ、

その黄金の顔も、ときに翳る。

美しきものは、皆、偶然に、

あるいは自然の流れに沿って、すたれゆく。

 

           シェイクスピアソネット-18番」 部分 河合祥一郎

 

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烈日: れつじつ

顔: かんばせ

翳る: かげる

「ソネット」(1) 四行連

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君を夏の日にたとえようか。

君はもっとすてきで、もっとおだやかだ。

5月の可憐な蕾は強風に揺れ、

夏の命はあまりに短い。

  

           シェイクスピアソネット-18番」 部分 河合祥一郎

 

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可憐: かれん

蕾: つぼみ

シェイクスピア『ソネット集』1609年初版  

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シェイクスピアソネット』初版1609年 大英図書館蔵 (画像は同サイトより引用)

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河合祥一郎によると、『ソネット集』は154篇からなり「1-17 :美青年ら結婚を勧める詩群、18-126: 美青年への愛を歌う詩群、127-152: 黒い女を歌う詩群、153,154:最後の反歌二編」の構成。「有名なソネット18番でシェイクスピアが呼びかけている「君」を女性と誤解してはならない。「君」とは美青年のことを言っているのだと知る必要がある」(河合洋一郎、小林章夫編『シェイクスピア ハンドブック』三省堂 2010)

 

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初版冒頭 献辞

 

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ソネット18番の頁  

 

→ 現代語訳

Shall I compare thee to a summer's day? 

Thou art more lovely and more temperate.

Rough winds do shake the darling buds of May, 

And summer's lease hath all too short a date:

Sometime too hot the eye of heaven shines, 

And often is his gold complexion dimm'd; 

And every fair from fair sometime declines, 

By chance or nature's changing course untrimm'd; 

But thy eternal summer shall not fade, 

Nor lose possession of that fair thou ow'st; 

Nor shall Death brag thou wander'st in his shade, 

When in eternal lines to time thou grow'st: 

   So long as men can breathe, or eyes can see, 

   So long lives this, and this gives life to thee.

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 英語を解せないのに古英語となると、さらにどうなってるのとチンプンカンプン。でも、京都写真展での表記は1609年にした。明日、18日から21日迄の4日間、河合祥一郎による日本語の訳で紹介したい。

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大英図書館 デジタルアーカイブ サイト →

www.bl.uk

 

第20回記念 京都写真展 at ギャラリーマロニエ

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ギャラリーマロニエ3階 『ソネット』7枚組。

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今年もマロニエ・スタッフのみなさんのご協力で作品展示が無事に終わりました。有難うございます。同室で展示される方は、山崎正文、田中邦雄、オカダミツヨ、金井杜道、早川知芳 良い展示になっています。

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