「呑む悦び」などと


杉本秀太郎著『見る悦び─形の生態誌』(中央公論新社、2014.9刊)

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お盆なのでご先祖様と一緒に昼からビール。うつらうつらと杉本さんの著書を読んでおります(不謹慎)。氏のような博識、育ちの良さと対局の身では、古今東西の先人へはなかなか辿り着けない。どうしても凡人は「何か耳新しいこと、いまだ人の触れず語らずの何事かを提示する用意がなくてはならない。それが物書きの第一義であるべきたろう。」(31頁)とか、「この「もくろく」にいう京都某家は私の家のことで、手もとの「もくろく」には、父の手で入札の道具屋の名と落札の値が一、一について書きとめてある。」(89頁)などと言った箇所にであって、コップを置くといった有様。ある京町家のご主人の間に本書が置かれていた光景を思い浮かべながら、読書は街や時代や友情とともにあるべきだろうと思った。わたしの友達、もっと本を書いてくれないかしら---