読書『英国人の血』

18.3×10.6cm 328pp. 24- 英国人の血 シェイムズ・マクルーア(斎藤数衛訳) No.1403 早川書房 1982年11月15日発行

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 最初、それはほかのどんな死体とも大して変わっていないように見えた。もちろん、それはそれなりにぎょっとさせるものはあったが、これという特別なところはなく、それに、彼には鼻づまりという利点があった。そのうちに、それが自分の予期したものをはるかに超えたものだということがわかってきた、両腕の骨はきつく縛られたために砕けていたが、それを締めあげた力は”巨人”──人間の形をしたゴリラ──以外のなにものでもありえなかった。 p.31

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 「おかしいわ」と、彼女は続けた。「わたし、あの人が死んでいるって全然気にならなかったの、わかる? ちっともこわくなかったわ。あんまり作りものみたいで──」「この仕事では死んだ人間は問題じゃないんだ」と、クレイマーはいった。「問題なのは生きているやつだ」 
 二人が非常階段を黙っておりていくと、ドライクリーニング店の倉庫の裏口が涼しい夜気を入れるため、わずかばかりあけてあって、驚いたことに、でぶのソリー・ワインバーグが自分のデスクに向かっていた。 p.257

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