「写真の都」物語 13 ── 杉山茂太『SUD』

名古屋市美術館2階 企画展示室 杉山茂太『SUD』(1968) 右下段は『SUD-EST I 洋子に』 --- 杉山茂太(1948〜2015)は、1965年9月から翌1966年3月まで<中部学生写真連盟>の高校の部の執行委員長を務めた。『フォト・オピニオン』創刊号において、杉山は表紙の作…

「写真の都」物語 12 ── 第2回 解説会

名古屋駅前 雨が上がりました。 --- 昨日は竹葉丈氏の解説会に参加。テーマは「前衛写真から主観主義写真へ── 写真家たちの戦前/戦後」。いろいろな疑問がほぐれた数時間だった。現像・焼付をしない(できない)アマチアたちが、店頭に置かれた海外の写真雑誌…

「写真の都」物語 11 ── あの頃の表現… →『大須』

--- 名古屋市美『「写真の都」物語』展の会期(3月28日迄)も折り返しとなった。この展覧会は巡回しないので、観ていない方には、ぜひとも名古屋まで足を運んでいただきたい。その援護射撃になるかと駒込の画廊・ときの忘れもののブログに展覧会のレビューを書…

「写真の都」物語 10 ── カタログ・記念出版

26.4×19cm pp.292 「『写真の都』物語」竹葉丈編著、株式会社国書刊行会発行、株式会社D_CODE[垣本正哉、河野素子、堂島徹]装丁・デザイン 2021年2月5日初版第1刷発行 --- 展覧会のカタログが一般書籍として店頭に並ぶようになり展覧会から離れて久しい。海…

「写真の都」物語 9 ── 客観と主観の交錯

名古屋市美術館 企画展示室 山本悍右(左)、後藤敬一郎 ケースにリーフレット『CARNET DE VIVI』No.1 (VIVI社、1948.6) --- 第二次大戦後の1947年、名古屋で高田皆義、山本悍右、服部義文、後藤敬一郎によって「VIVI社」が結成される。 後藤敬一郎(左2点)、高…

「写真の都」物語 8 ── シュルレアリスムか、アブストラクトか

名古屋市美術館 企画展示室 月刊写真雑誌『カメラマン』(1936〜1940)より21冊。第20号に「超現実主義の論理」(1938.5) --- ナゴヤ・フォトアヴァンガルドで坂田稔(1902-1974)は抽象造形と超現実主義写真の協同を展開したが、時代の要請が高まるとともに変化…

「写真の都」物語 7 ── モダン都市の位相

名古屋市美術館 企画展示室 展覧会初日 --- 1930年代初頭からの「新興写真」は、ドイツの新即物主義の影響を受けて始まったと聞く。表現の定義としては、客観的な把握と新しい美、生活の記録と人生の報告、光による造形。なんか、個人的には、いまひとつ。な…

「写真の都」物語 6 ── 写真芸術のはじめ

名古屋市美術館 企画展示室 --- 愛友写真倶楽部の快進撃: ゴム印画技法、ソフトフォーカス・レンズ。額装しての出品は合評会で高得点を獲得した会員の特権だそうです。 写真画集『銀乃壺』、愛友写真倶楽部『画集』他 日高長太郎(1883-1926)、大橋松太郎(189…

「写真の都」物語 第五報 ── 始まりました。

初日の朝一番(9時30分)から、名古屋市美術館の『「写真の都」物語 ─ 名古屋写真運動史: 1911-1972』展を拝見しました(3月28日迄)。熱心に写真を見入る若い人が多く、良い滑り出しの展覧会となっています。愛友写真倶楽部の作品、いいですよ--- 展覧会の報告…

「写真の都」物語 第四報

本日、2月6日(土)より、名古屋市美術館で『「写真の都」物語 ─ 名古屋写真運動史: 1911-1972』展が開催されます。小生、終日、美術館で拝見させていただく予定にしております。どんな展示になっているか、どんなカタログが出来上がったか、楽しみでありま…

「写真の都」物語 第三報

『「写真の都」物語 ─ 名古屋写真運動史: 1911-1972』展関連のグッズが紹介されている。美術館とグラニフのコラボレーションで、山本悍右さんの有名な『伽藍の鳥籠』(受話器が鳥籠に入っているものと、今回の外に出ているものなど)の一枚を使ったティシャツ…

「写真の都」物語 第二報

昨日に続いて『「写真の都」物語』ポスター(こちらは車内吊用)、東松照明の「神奈川・横須賀 1959」とSugiura Yoji「大須より 1969」が使われている。赤色のタイポグラフィーがストレートの訴求力でよろしいですな。古いネガをゴソゴソやって、学生達が通っ…

「写真の都」物語 第一報

● 昨年9月の開催予定がコロナ禍の影響で延期された名古屋市美術館での『「写真の都」物語 ─ 名古屋写真運動史: 1911-1972』のポスターとチラシが昨日、拙宅に届いた。いよいよ開催まで一ヶ月をきった(またまた、緊急事態発令で心配ですが)。ポスターに使われ…

写真集『郡上』

18×20cm 頁表記なし。定価1,800円 --- 昨年末、京都写真展の会場で名古屋の写真家から名古屋女子大学写真部OGが上梓された写真集『郡上』を見せてもらった。発行は2016年1月15日となっているが、撮影は48年前の1968年から1970年頃のものだと云う。ブレ・ボケ…

全日本学生写真連盟会報

--- 名古屋の写真家と待ち合わせ、名古屋市科学館前のテラスで中部学生写真連盟「高校の部」の話題など。小生の曖昧な記憶を沢山修正していただいた。原資料を架蔵されている底力を改めて痛感。いまから「連盟会報」などを集めるのは不可能だから、友人にす…

《写真の方法》を考えるために

『6月』 - 前シートから続いて、「話し始めた。「確かに日本の写真集は高いと思うな。僕はよく外国の写真集を本屋で見るんですが大体10ドル位の物が一番多いですね。そして特に売れている物や特に高い物はそのダイジェスト版が1〜2ドルで出ているんです。日…

その時代を想い出す。

ギャラリーマロニエ3階での『6月』展示 - 故杉山茂太氏 写真集『6月』の全46図紹介を4回に分けて行う予定でやっている(明日まで)が、この3回目がクライマックスかと思う。中部学生写真連盟高校の部から東京総合写真専門学校ヘ進んだ人は多く、わたしの同級生…

『6月』 at ギャラリーマロニエ

写真のイロハから教えていただいた「中部学生写真連盟高校の部」の先輩である故杉山茂太氏については、折りに触れこのプログで紹介させていただいた。昨年の京都写真展の出品作「bound for」においては2015年2月15日の日付とともに若き肖像を展示したし、今…

『京都写真展』出品作

『6月』 - 今日も寒い。終日、家にこもり19日(火)から始まる『京都写真展』の出品作を検討。今年は中部学生写真連盟高校の部でお世話になった故杉山茂太氏へのオマージュをしたいと考え、遺作の『6月』を手に取っている。これは、1968年の5月から6月にかけて…

杉山茂太氏の呼びかけ

杉山茂太(グループSUD) 1970年 年賀状 戌年だった。 - 昨日、名古屋の写真家が持参した資料には、中部学生写真連盟が1967年に開催した「第2回BCコンテスト」の入選写真(ヴィンテージプリント)の一部が含まれていた。参考までに入選者を書いておくと伊藤清吉…

SUDの杉山茂太と名古屋の写真家

2015年2月15日 - 中部学生写真連盟高校の部で活躍された杉山茂太氏との別れについては、昨年の3月6日、5月31日、6月4日に報告させていただいた。今回「bound for」として、纏めたいと思ったのは、氏から影響を受けた高校生の頃の自分を思い出したからである…

別れの後には、新しい出会いが……

- 愛知県美術館での私学展の後、友人たちと四日市に移動して写真集などを観たのは、恐らく1971年10月。写真手前の二人は、左が若い写真家、右が碧南の洋画家。写真家が手にしているのは『6月』、洋画家の方はマツクス・エルンストの画集だったように記憶する…

追悼 杉山茂太と写真集『SUD』

- 写真集『SUD』 日曜日の昼前に、銀紙書房刊本の原点である杉山茂太氏の写真集『SUD』と再会した。印画紙貼付44頁、布製本・角背。40年の時が過ぎているけど、瑞々しく最高に素晴らしい。これは、高校生の時に見せてもらって虜になってしまった写真集で、手…

哀悼 杉山茂太

杉山茂太氏 1971 - 中部学生写真連盟高校の部で活躍された杉山茂太氏が2月21日(土)に亡くなられた(享年66)。近しい方の話しでは---しばらく前から体調のすぐれない訳については、よく理解されていたご様子だったが、それは御本人の内に秘め、穏やかに日々を…

全日会報

全日本学生写真連盟の機関誌である「全日会報」をある方から頂戴した(と云うか、おねだりした)。昭和41年7月2日付けの第56号から昭和43年4月20日付けの第62号まで(第61号が抜けている)の6回分である。これまで、全日本学生写真連盟の活動を話題にされる人は…

高橋章写真集『断層』

バッチと名古屋駅前(1969.11.13) at ギャラリーマロニエ 高橋章写真集『断層』20.9×15.1cm 1974年1月10日 491刊 このブログで東京都写真美術館で開催された『日本写真の1968』展にふれた時、写真史家で同美術館の学芸員でもある金子隆一さんの「この時期、筆…

増感現像

ギャラリーマロニエ 2012.12.4-16 昨年の12月にギャラリーマロニエで開催させていただいた『マン・レイのパリ 1972年』の導入部に置いたいくつかのイメージ、わたしがマン・レイ狂いになってしまった経緯を説明するような『10.21とは何か』と『'69.11.3-17佐…

今、どうしていますか?

マロニエでの展示写真6点の撮影日は、左端の高校生隊列が1970年1月18日、バッチを挟んで1969年10月21日、11月13日、右側3点が10月21日である。捕まった時の連絡先電話番号を覚えて(紙に書いてはいけません)歩いたと記憶する。展覧会の初日に来廊してくれた友…

中部学生写真連盟

石原輝雄 「名古屋 10.21」at ギャラリーマロニエ 袋の中には中部学生写真連盟のバッチ、17歳だった。 - 「中部学生写真連盟は愛知大学の写真部にいた東松照明が中心となって、名古屋地区の大学写真部を横断的につなぐ組織として1951年に結成された。」(『リ…

名古屋 10.21

石原輝雄 「名古屋 10.21」at ギャラリーマロニエ 明日から始まる京都写真展(17日から22日まで)には、高校生時代の写真を展示いたしました。 - ブログにアップしながら、違和感を抱えながら、なんとか当時(1969年)の写真を見ている。政治の季節なんて言われ…